会議の文字起こしやメモをChatGPTに貼り付け、決定事項・未決事項・ToDo・担当者・期限を含む議事録へ整理することができます。仕事全般の効率化ではなく、この記事では会議記録を議事録に変換する使い方に絞って解説します。
使い方のポイントは、次の4つです。
- 会議名や日時などの前提情報と、記録本文を分ける
- 出力項目と分類ルールを先に指定する
- 原文にない担当者・期限・数値を推測させない
- 生成結果を原文と照合してから共有する
文字起こし、箇条書きメモ、チャットログのどれを使う場合でも、ChatGPTに任せるのは情報の抽出と整形です。決定事項の判断、担当者や期限の確認、機密情報の扱いは人が確認してください。
ChatGPTで議事録を作る前に確認すること
議事録化は、「抽出」「分類」「整形」「検証」の順に分けると確認しやすくなります。最初から完璧な議事録を作らせるのではなく、重要な項目を再抽出したり、元の記録と照合したりしながら整えていきます。
ChatGPTに任せる作業と人が確認する作業を分ける
ChatGPTには、発言内容の整理、決定事項やToDoの抽出、重複の統合、指定形式への変換を任せられます。一方、次の項目は人が原文と照合します。
- 決定事項と単なる意見・提案の区別
- 担当者、期限、日付、金額、数値
- 発言者、否定表現、保留表現
- 原文にない補完が含まれていないか
- 共有してよい機密情報や個人情報か
入力素材の種類に応じて指示を変える

手元の記録がどの種類かを確認し、重点を変えます。
| 入力素材 | 重点的に確認する点 | 指示の重点 |
|---|---|---|
| 音声の文字起こし | 誤認識・話者・発言順 | 固有名詞や数値を推測で直さない |
| 箇条書きメモ | 情報の不足 | 内容を補完せず不明点を表示する |
| チャットログ | 発言者・時系列・重複 | 変更後の内容と根拠を残す |
文字起こしには、可能であれば話者名、発言時刻、ブロック番号を付けます。話者名が記録されていない場合は、ChatGPTに氏名を推測させず、「参加者A」などの原文ラベルを維持させてください。
社内情報や個人情報を入力する前にマスキングする
氏名、連絡先、顧客情報、人事情報、評価、健康情報、未公開の契約情報や営業情報は、入力前にマスキングや社内承認を検討します。氏名だけを置き換えても、会議日時、部署、案件名、発言内容の組み合わせで特定される場合があります。
個人向けChatGPTでは、データ設定やTemporary Chatの扱いを確認できます。ただし、設定変更だけで会社の機密情報を入力してよいとは限りません。会社の情報管理規程、契約、ワークスペース設定を優先してください。生成AIサービスへ個人情報を入力する際の確認事項については、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」も確認できます。
会議の記録を議事録に変換する基本プロンプト
基本プロンプトでは、役割、目的、分類ルール、不明情報の扱い、出力形式、入力本文を分けて指定します。指示文と入力本文を区切る方法は、OpenAIのプロンプト設計ガイドでも紹介されています。
議事録に出力する項目を先に指定する
最低限、次の項目を指定すると、確認すべき場所が明確になります。
- 会議名・日時・参加者
- 概要
- 決定事項
- 未決事項・確認事項
- ToDo・担当者・期限
- 発言者不明箇所
- 根拠となる発言または該当箇所
そのまま使える基本プロンプト

角括弧の部分を置き換えて使用してください。
あなたは会議記録を整理する編集者です。 以下の会議記録を、実務で確認しやすい議事録に整理してください。 【目的】 決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限を原文に基づいて抽出する。 【ルール】 ・原文にない内容を追加しない。 ・合意、承認、決定を示す発言がある場合だけ「決定事項」に分類する。 ・提案、希望、懸念、検討中の内容は決定事項にしない。 ・担当者、期限、発言者、数値が不明な場合は「不明」「未定」「記載なし」「要確認」と表示する。 ・推測が必要な内容は議事録本文に入れない。 ・固有名詞、金額、日付は推測で修正しない。 ・各項目に根拠となる発言または該当箇所を付ける。 【出力形式】 会議名: 日時: 参加者: 概要: 決定事項: 未決事項・確認事項: ToDo:項目/担当者/期限/根拠箇所 発言者不明箇所: 【会議情報】 会議名:[会議名] 日時:[日時] 参加者:[参加者] 【会議記録ここから】 """ [文字起こし、メモ、またはチャットログ] """ 【会議記録ここまで】
「ここから」「ここまで」のような区切りを置くと、指示文と入力素材を分けやすくなります。
出力例でToDoの分割ルールを確認する
たとえば、記録に「山田さんが金曜までに見積書を修正し、佐藤さんが顧客へ送付」とある場合は、作業を2件に分けます。
- 見積書を修正/担当者:山田さん/期限:金曜まで
- 顧客へ送付/担当者:佐藤さん/期限:記載なし
送付作業の期限が記録にない場合、会議日から日付を計算したり、修正作業と同じ期限にしたりしないよう指定します。
入力素材別に使い分ける議事録化プロンプト
同じ議事録化でも、素材によって誤りやすい箇所が異なります。入力内容に合わせて、抽出と整理の指示を変えてください。
音声の文字起こし向け:発言内容から決定事項とアクションを抽出する
以下は会議の文字起こしです。発言順を維持しながら、決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限を抽出してください。 話者名や時刻が不明な場合は、原文のラベルを維持し、「不明」と表示してください。 誤認識の可能性がある固有名詞、金額、日付、数値は推測で修正しないでください。 合意・承認の発言がない内容は、決定事項に分類しないでください。 各項目に根拠となる発言を添えてください。 【文字起こし】 """ [ここに文字起こし] """
文字起こしに誤認識が含まれる可能性がある場合、自然な文章への修正と、事実の補完を分けて指示します。
箇条書きメモ向け:不足情報を補完させない
以下の箇条書きメモを、決定事項、未決事項、意見、ToDoに分類してください。 情報が書かれていない項目は推測で補わず、「記載なし」または「要確認」と表示してください。 担当者や期限が明記されていないToDoは、担当者・期限を「不明」「未定」としてください。 【箇条書きメモ】 """ [ここにメモ] """
チャットログ向け:発言者と変更履歴を残す
以下のチャットログを時系列で整理し、発言者別の内容を確認したうえで議事録化してください。 同じToDoが複数回出てきた場合は重複を統合してください。 後続の投稿で担当者や期限が変更されている場合は、最新の内容を採用し、変更の根拠メッセージを示してください。 発言者名を推測せず、原文の表記を維持してください。 出力項目:決定事項/未決事項/ToDo/担当者/期限/根拠メッセージ 【チャットログ】 """ [ここにチャットログ] """
議事録の用途別に出力形式を指定するプロンプト
共有相手や利用目的によって、先に表示したい情報は変わります。基本プロンプトの出力形式だけを、次のように差し替えてください。
社内共有用:要点と決定事項を先頭に置く
社内共有用の議事録として、冒頭に会議概要と決定事項を置いてください。 その後に未決事項、ToDo、担当者、期限を整理してください。 原文にない情報は追加せず、不明な項目は「要確認」と表示してください。 最後に、共有前に人が確認すべき箇所を列挙してください。
上司報告用:結論と判断待ちを整理する
上司報告用に、次の順番で整理してください。 ・結論 ・決定事項と根拠 ・未決事項 ・判断や確認が必要な点 ・ToDo、担当者、期限 意見や提案を決定事項として扱わないでください。
プロジェクト進行用:ToDoを一覧化する
プロジェクト進行用に、ToDoを一覧化してください。 項目は「ToDo」「担当者」「期限」「状態」「根拠箇所」としてください。 状態は、原文から確認できる範囲で「決定」「要確認」「未定」と表示してください。 担当者や期限を推測して埋めないでください。
顧客との打ち合わせ用:合意事項と要望を分ける
顧客との打ち合わせ記録を、次の項目に分けて整理してください。 ・双方の合意事項 ・顧客からの要望 ・当社側の提案 ・次回確認事項 ・ToDo、担当者、期限 合意を示す発言がない要望や提案は、合意事項に分類しないでください。 未公開情報や個人情報を新たに補完しないでください。
議事録の精度を上げる追加指示
「正確にまとめて」とだけ指定するより、分類基準と不明情報の扱いを明示した方が、確認すべき箇所を把握しやすくなります。ただし、プロンプトだけで誤認識を完全に防げるわけではありません。
事実・不明点・推測を分ける
原文に書かれている事実と、原文から判断できない不明点を分けてください。 原文にない担当者、期限、数値、日付、発言者を追加しないでください。 推測が必要な内容は議事録本文へ入れず、「要確認」と表示してください。
決定事項と意見・提案を区別する
「決定事項」は、原文に合意、承認、決定を示す発言がある場合だけにしてください。 「〜でよさそう」「〜してはどうか」「検討する」「希望する」は、決定事項にしないでください。 判断できない場合は「意見・提案」または「要確認」に分類し、根拠発言を示してください。
たとえば「新機能は来月リリースでよさそう」という発言だけなら、決定事項ではなく「案・要確認」です。「来月」を具体的な日付へ変換しないでください。
発言者・担当者・期限が不明な場合の表示方法を指定する
発言者が不明な場合は、原文の「参加者A」などのラベルを維持してください。 担当者が決まっていない場合は「未定」、記録にない場合は「記載なし」、確認が必要な場合は「要確認」と表示してください。 会話内容から担当者を推測しないでください。
言い換えと重複削除の範囲を指定する
意味を変えない範囲で、口語表現を議事録向けの文体へ整えてください。 発言の強さ、否定、保留、条件は削除しないでください。 重複は削除してよいですが、後続発言で内容が変更されている場合は、変更履歴と根拠を残してください。
ChatGPTの議事録で起こる失敗と修正プロンプト
誤りを直すときは、生成済みの議事録だけでなく、元の文字起こしやメモの該当箇所も再提示します。修正前後の差分と根拠を出力させると、取り違えを確認しやすくなります。
担当者や期限を取り違えた場合
以下の元記録と生成済み議事録を照合してください。 担当者、期限、数値、日付の取り違えを確認し、原文にない内容は削除してください。 修正した項目ごとに「修正前」「修正後」「原文の根拠」を示してください。 原文で判断できない場合は「要確認」としてください。 【元記録】 """ [該当する原文] """ 【生成済み議事録】 """ [議事録] """
要約しすぎて情報が不足した場合
議事録を短く要約せず、決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限を原文から再抽出してください。 各項目に根拠発言を添えてください。 背景説明は原文にある範囲だけを、決定事項と区別して記載してください。
意見を決定事項として整理した場合
生成済み議事録の「決定事項」を元記録と照合してください。 合意、承認、決定を示す発言がない項目は、意見、提案、未決事項、要確認のいずれかへ移してください。 分類を変更した理由と根拠発言を示してください。
長い会話ログを分割して処理する場合
長いログは、時系列を保ったままブロックに分けます。各ブロックで決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限、根拠箇所を抽出し、最後に統合してください。ブロック番号、会議名、日時、話者表記は維持します。
これは会議記録のブロックです。全体の一部として処理してください。 ブロック番号を付け、決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限、根拠箇所だけを抽出してください。 この時点で内容を補完せず、重複の可能性がある項目も残してください。 【ブロック番号】 [番号] 【会議記録】 """ [該当部分] """
すべてのブロックを処理した後、次の指示で統合します。
以下のブロック別抽出結果を統合してください。 重複を削除し、後続ブロックで変更された担当者や期限を反映してください。 決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限、根拠箇所を分けてください。 原文で確認できない項目は推測せず、「要確認」としてください。 最後に、抜け漏れの可能性がある項目を示してください。
ChatGPTの出力を共有する前の確認事項

ChatGPTが作成した議事録は、そのまま社内や顧客へ配布せず、人が原文と照合します。重要な項目から順に確認すると、修正箇所を見つけやすくなります。
決定事項・未決事項・ToDoの抜け漏れを確認する
- 合意・承認がある内容だけが決定事項になっているか
- 意見や提案が決定事項へ混ざっていないか
- 未決事項や確認事項が残っていないか
- 複数の作業が別々のToDoに分かれているか
- 各項目に根拠箇所があるか
担当者・期限・発言者が原文と一致しているか確認する
「来週」「月末」「次回」などの相対的な期限は、具体的な日付へ自動変換せず、原文の表現を確認します。話者名が記録されていない場合も、発言内容から氏名を推測しません。
機密情報や個人情報の扱いを確認する
共有先に不要な氏名、連絡先、顧客情報、人事情報、未公開の契約情報などが含まれていないか確認します。個人向けサービスの設定やファイル保存の仕様は変更される可能性があるため、利用時点の公式情報と社内ルールを照合してください。
OpenAI「What can I customize in ChatGPT?」、OpenAI「Temporary Chat FAQ」、OpenAI「File storage and Library in ChatGPT」
ビジネス向けサービスについても、入力・出力を原則としてモデル訓練に使わない方針が示されています。ただし、契約、ワークスペース設定、管理者アクセス、保持期間、接続した外部サービスの条件は別途確認が必要です。OpenAI「Enterprise privacy at OpenAI」
AI議事録・文字起こしサービスを検討する場合の確認軸
専用サービスを検討する場合は、機能名だけでなく、次の点を確認します。
- 文字起こし機能の有無
- 話者分離の扱い
- 保存先とファイル管理
- 管理者権限とアクセス範囲
- 入力データの学習利用
- 監査・保持設定
- 社内導入の承認可否
よくある質問
会議の文字起こしをChatGPTにどのように貼り付ければよいですか?
会議名、日時、参加者などの前提情報と本文を分け、本文の前後に「会議記録ここから」「会議記録ここまで」などの区切りを置きます。そのうえで、出力項目、分類ルール、不明情報の表示方法を指定してください。
決定事項と単なる意見をChatGPTにどう分けさせればよいですか?
合意、承認、決定を示す発言がある場合だけ決定事項に分類します。「〜でよさそう」「〜してはどうか」など、判断できない内容は意見、提案、未決事項、要確認として分けます。
担当者や期限が会話に出てこない場合はどうすればよいですか?
推測させず、担当者は「未定」または「記載なし」、期限は「記載なし」、確認が必要な場合は「要確認」と表示させます。
長い文字起こしやチャットログもChatGPTで議事録にできますか?
時系列、話者表記、ブロック番号を維持して分割し、各部分から項目を抽出した後に統合できます。統合時は重複、変更後の担当者や期限、抜け漏れを確認してください。
社内の機密情報をChatGPTに入力しても問題ありませんか?
一律には判断できません。会社の利用ルール、契約、ワークスペース設定、保存先、アクセス権を確認し、必要に応じて固有名詞や個人情報をマスキングします。データ設定を変更しても、社内規程の確認を省略できるわけではありません。
ChatGPTが作った議事録をそのまま共有できますか?
そのまま共有せず、人が原文と照合してください。決定事項と意見、担当者、期限、発言者、否定や保留表現、機密情報、原文にない補完の有無を確認してから配布します。
まとめ
ChatGPTで会議記録を議事録へ整えるときは、次の流れで進めます。
- 文字起こし、箇条書きメモ、チャットログに素材を分類する
- 会議情報と入力本文を区切る
- 決定事項、未決事項、ToDo、担当者、期限、根拠箇所を指定する
- 原文にない内容を補完させず、不明情報は「要確認」などで表示する
- 必要に応じて抽出、分類、整形、検証を分ける
- 共有前に人が原文、機密情報、担当者、期限を確認する
まずは機密情報を含まない説明用の会議記録で基本プロンプトを試し、自分の業務に合う出力項目と確認手順へ調整してください。
プロンプトの基本設計については、OpenAI「Prompt engineering best practices for ChatGPT」およびOpenAI「Best practices for prompt engineering with the OpenAI API」も参照できます。
