生成AIの活用事例10選|会社員が営業・事務・企画・管理部門で試せる仕事の使い方

執筆者:

カテゴリ:

生成AIを仕事で使いたいものの、「自分の業務のどこに使えるのか」「AIの回答をそのまま使ってよいのか」と迷っていませんか。

会社員が生成AIを試すなら、最初から業務全体を任せるのではなく、メール・資料・議事録・要約・分類などの下書きや整理の工程から始める方法が現実的です。AIには候補作成や情報整理を任せ、事実関係、機密性、最終判断は人が確認します。

この記事では、営業・事務・企画・管理部門で使える生成AIの活用事例を10個紹介します。各事例について、導入前の作業、AIに任せる工程、作成後の状態、人が確認する項目を整理しました。自分の職種に近い事例を一つ選び、明日試す業務を決めるために活用してください。

生成AIの活用事例を先に比較する

営業・事務・企画・管理部門で生成AIを使う工程と人の確認を分けた図

10事例の概要を、AIに任せる工程と人の確認ポイントで比較します。実在企業の導入効果と、一般的な会社員向けの説明用例は分けて考えてください。

職種・事例 AIに任せる工程 人が確認する項目 入力リスク
営業:商談メモ 議事録・次の提案事項の整理 話者、決定事項、期限、数値 顧客情報・機密情報
営業:提案書 章立て・訴求点・不足情報の整理 価格、仕様、実績、適合性 社内資料・未公開情報
営業:フォローメール お礼・保留事項・次回予定の初稿 宛名、約束、日付、公開範囲 顧客情報・契約条件
事務:メール 文面の初稿・言い換え 宛先、期限、添付、依頼内容 社外秘情報
事務:議事録 要約・決定事項・担当者の整理 発言、数値、期限、責任者 会議情報・個人情報
事務:問い合わせ分類 テーマ・緊急度・担当部署の分類 分類根拠、対応先、顧客への影響 個人情報・顧客情報
企画:市場・競合調査 調査論点・比較項目の整理 出典、公開日、調査条件、数値 外部情報の誤り
企画:企画書 構成案・チェックリストの作成 数値、コスト、実行可能性 社内計画・未公開情報
管理:規程・マニュアル 結論・根拠箇所・例外の整理 最新版、適用条件、原文 社内規程・人事情報
管理:社内通知 通知文・定型報告書の初稿 対象範囲、日付、制度内容、承認 社内制度・未確定情報

表の「入力リスク」は、情報を入力してよいという意味ではありません。顧客情報、個人情報、契約条件、人事情報、営業秘密などを入力できるかは、会社の規程、契約、管理設定を確認して判断してください。

生成AIを使いやすい仕事の条件

生成AIの活用先は、「AIで何でも自動化できるか」ではなく、作業の一部を切り出せるかで考えます。次の条件を満たす業務ほど、AIに任せる工程と人が確認する工程を分けやすくなります。

  • 同じ形式の作業を繰り返している
  • 入力する情報と完成物の形式を決められる
  • AIの出力を原資料と照合できる
  • 出力後の確認担当者を決められる
  • 誤りが起きても、送信や最終判断の前に止められる

一方、顧客への契約・価格・納期の確約、採用や人事評価、法務判断、金額決定などは、AIの出力だけで結論を出す業務として扱いません。

営業で使える生成AIの活用事例

営業では、商談後の記録、提案準備、顧客へのフォローなど、情報を整理して次の行動につなげる前段階で活用を検討できます。

1. 商談メモから議事録と次の提案事項を整理する

Before:録音やメモを確認しながら、議事録、日報、次回提案の要点を個別に作成します。

AIに任せる工程:商談メモや文字起こしを、参加者、概要、決定事項、未決事項、担当者、期限、次回提案に分類させます。

After:商談後の記録と次の行動が同じ形式で整理され、転記や構成を考える工程を減らせます。

人が確認する項目:音声や原メモと照合し、話者、固有名詞、数値、決定事項、期限を確認します。文字起こしには誤認識や文脈の欠落があり得るため、AIの出力だけで確定しません。

依頼文の例:「以下の商談メモを、決定事項・未決事項・担当者・期限・次回提案に分類してください。原文にない内容は補わず、不明な項目は『要確認』と記載してください。」

KDDIアジャイル開発センターの事例では、録音・録画ファイルや文字起こしから議事録、提案骨子、日報・週報を作成する流れが紹介されています。AWSのKDDIアジャイル開発センターの生成AI活用事例

2. 顧客別の提案書のたたき台を作成する

Before:顧客課題に関連する社内資料を探し、提案書の章立てや訴求点を考えます。

AIに任せる工程:顧客課題、商談目的、利用可能な自社資料をもとに、章立て、各章の要点、不足情報を整理させます。

After:提案書の初期構成を短時間で確認でき、担当者は内容の適合性や資料の選定に集中できます。

人が確認する項目:提案内容、価格、仕様、導入実績、利用条件、顧客への適合性を原資料と照合します。社内資料を検索して関連スライドを提示する仕組みと、個人向けチャットAIへの単純な入力は同じではありません。

KDDIでは、営業資料の作成や情報収集・整理を支援する仕組みが紹介されています。営業準備時間約74%削減という数値は、同社の導入環境における実績であり、一般的な効果として扱わないでください。Microsoft Customer StoriesのKDDI導入事例

3. 商談後のフォローメールを下書きする

Before:商談メモを見返し、顧客へのお礼、回答保留事項、次回日程をメールにまとめます。

AIに任せる工程:商談の結論、顧客からの質問、回答保留事項、次回日程を渡し、件名と本文の初稿を作成させます。

After:メールの骨子ができるため、担当者は事実確認と顧客に合わせた調整を行いやすくなります。

人が確認する項目:宛名、社名、日付、数値、約束事項、公開してよい情報、添付ファイル、次回日程を確認します。未回答の質問は回答を確約せず、「確認のうえ連絡する」といった表現に修正します。

会議要約をもとに概要メールを作成し、AI生成メモをCRMへ保存する会議後の業務も紹介されています。Microsoft Learnの会議要約に関する説明

事務で使える生成AIの活用事例

事務業務では、文章の初稿、会議記録、自由記述の分類など、形式を整える作業を切り出せます。

4. 社内外のメール文面を作成・言い換えする

Before:依頼内容や期限を整理し、相手に合わせた文面へ書き換えます。

AIに任せる工程:メールの目的、相手、要点、期限、トーン、文字数を入力し、初稿や言い換え案を作成させます。

After:文章の構成や表現を考える時間を減らし、内容の確認と調整に時間を使えます。

人が確認する項目:宛先、期限、添付ファイル、依頼内容、敬語、社外へ出してよい情報を確認します。メール作成について、一般の会社員に一律の削減時間を示せる根拠は確認できないため、作成時間と修正時間を自分で記録してください。

依頼文の例:「社内向けに、作業依頼のメールを作成してください。目的、依頼内容、期限、確認事項を明確にし、簡潔で丁寧な表現にしてください。入力情報にない期限や担当者は追加しないでください。」

5. 会議の議事録を要約して共有しやすくする

Before:会議メモや文字起こしを読み返し、参加者が確認すべき内容をまとめます。

AIに任せる工程:概要、決定事項、未決事項、担当者、期限、次回議題に整理させます。

After:共有用の議事録の下書きができ、参加者への確認を始めやすくなります。

人が確認する項目:話者、数値、固有名詞、決定事項、期限、責任者を原音や原メモと照合します。共有前に参加者へ確認する手順を決めておくと、誤認識を見つけやすくなります。

沢井製薬の事例では議事録作成が1時間以上から15分まで短縮されたと紹介され、ハリマビステムの事例では平均約20分の短縮が示されています。いずれも特定企業・特定ツールの実績であり、会社員全体の平均値ではありません。沢井製薬の導入事例、LINE WORKS AiNoteの導入事例

6. アンケートや問い合わせ内容を分類・整理する

Before:自由記述の問い合わせやアンケート回答を読み、テーマや担当部署を振り分けます。

AIに任せる工程:テーマ、緊急度、担当部署、要対応・参考情報などの項目に分類させます。

After:大量の自由記述を一定の基準で整理し、担当者が確認する順番をつけやすくなります。

人が確認する項目:分類の根拠、緊急度、対応先、顧客への影響を確認します。分類結果をそのまま顧客対応や人事判断に使わず、担当者が内容を確認してから次の処理へ進めてください。

個人情報や顧客情報を含む場合は、匿名化できるか、社内承認済みの環境を使えるかを確認します。この用途について、一般企業に共通する削減時間は確認できないため、効果は自社で測定します。

企画で使える生成AIの活用事例

企画業務では、調査の論点整理や企画書の構成・確認項目の洗い出しに活用できます。ただし、AIの回答を市場事実や事業判断として扱わないことが前提です。

7. 市場・競合情報を整理して調査の論点をまとめる

Before:市場や競合について調べる観点を整理し、社内資料や公開情報を読み比べます。

AIに任せる工程:調査テーマを、対象地域、対象期間、競合名、比較項目、確認が必要な情報に分解させます。

After:調査開始前に確認すべき論点が明確になり、調査の抜け漏れを点検しやすくなります。

人が確認する項目:公開日、出典、調査条件、対象地域、数字の定義、情報の更新状況を確認します。市場規模や競合情報は、AIの回答だけを一次情報として採用しません。

依頼文の例:「新サービスの市場調査について、確認すべき論点を整理してください。市場規模、対象顧客、競合、価格、導入条件に分け、各項目で確認すべき一次情報と注意点を示してください。」

KDDIの事例では、社内資料の検索・情報収集・整理によって営業準備を支援しています。外部の市場情報を扱う場合は、出典を別途確認してください。Microsoft Customer StoriesのKDDI導入事例

8. 企画書の構成案を作りアイデアの抜け漏れを確認する

Before:企画の目的や対象者を整理し、企画書の章立てと確認項目を作成します。

AIに任せる工程:目的、対象者、課題、施策、KPI、コスト、リスク、実行体制をもとに、構成案とチェックリストを作成させます。

After:企画書のたたき台と確認項目を先に作り、担当者が内容の妥当性や実行可能性を検討しやすくなります。

人が確認する項目:数値の妥当性、実行可能性、コスト、社内方針との整合性、企画を実施するかどうかの判断を確認します。AIは案の整理に使い、事業判断を委ねません。

大塚製薬工場では、営業支援アプリ、議事録係、誤字脱字チェッカーなど、業務ごとの生成AIアプリが紹介されています。Microsoft Customer Storiesの大塚製薬工場事例

管理部門で使える生成AIの活用事例

管理部門では、規程やマニュアルの検索・要約、社内通知や定型報告書の初稿作成を検討できます。正式な判断や制度解釈は、原文と担当部署の確認を経てください。

9. 社内規程やマニュアルを要約して要点を整理する

Before:規程やマニュアルから、質問に関係する条文、適用条件、例外を探します。

AIに任せる工程:質問に対して、結論、根拠条文、適用条件、例外、確認先を整理させます。

After:確認すべき条文や条件の候補が分かり、原規程を読み始めるまでの時間を短縮できます。

人が確認する項目:最新版かどうか、改定日、適用対象、例外条件、根拠箇所を原規程で確認します。AIの回答を正式なルール判断として扱わないでください。

ソフトバンクでは、PDFやExcelなどの社内規程を構造化し、検索拡張生成(RAG)と生成AIを組み合わせてルール確認を効率化する取り組みが紹介されています。リリースから2.5カ月で延べ1.1万回利用され、約2,800時間の業務時間創出とされていますが、同社のシステムと利用規模を前提とした実績です。ソフトバンクの社内規程・ルール確認事例

10. 社内通知文と定型報告書の下書き・表現統一を行う

Before:既存テンプレートに制度変更や実施日などを反映し、社内向けの文面を作ります。

AIに任せる工程:テンプレート、対象者、実施日、問い合わせ先、禁止表現を渡し、初稿と表現統一案を作成させます。

After:通知文の構成や表現を整えた下書きを作成でき、担当者は制度内容と承認状況の確認に集中できます。

人が確認する項目:制度変更の内容、対象範囲、日付、問い合わせ先、法令や社内規程との整合性を確認します。承認者が確定した内容だけを使って作成してください。

大塚製薬工場の事例では、議事録係や誤字脱字チェッカーなど、部門横断の業務支援アプリが紹介されています。社内通知や報告書に応用する場合も、AIが作成した初稿を人が確認する工程を残します。

自分に合う生成AIの活用事例を選ぶ方法

生成AIを試す業務を5つの観点で選ぶ判断フロー

10事例をすべて同時に導入する必要はありません。次の五つの観点で候補を絞り、低リスクで確認しやすい工程を一つ選びます。

  • 頻度:繰り返し発生する業務か
  • 定型性:入力と出力の形式を決められるか
  • 情報リスク:機密情報や個人情報を含むか
  • 誤りの影響:誤った場合に社外送信や重要な判断へ直結するか
  • 確認負担:原資料との照合を実行できるか

たとえば、入力情報の機密度が低く、出力を原資料と照合できるメールの初稿や企画書の構成案は、最初の検証候補にしやすいでしょう。一方、顧客への確約、採用・評価、法務判断、金額決定などは、AIを補助に限定します。

AIに任せる範囲と人が確認する範囲を分ける

  • AIに任せる候補:候補出し、要約、分類、文章の初稿、項目整理
  • 人が確認する項目:事実関係、固有名詞、数値、引用、日付、宛先、機密性、著作権
  • 承認が必要な項目:顧客への確約、採用・評価、法務判断、金額決定、規程の最終解釈

生成AIには、もっともらしい誤りや抜け漏れが含まれる可能性があります。NISTも、生成AIへの過度な信頼であるオートメーション・バイアスなどをリスクとして扱っています。NISTの生成AIリスク管理フレームワーク資料

会社員が生成AIを使わない方がよい場面

機密情報や個人情報を含む業務では入力前に社内ルールを確認する

個人情報、顧客情報、未公開の契約条件、社外秘資料、営業秘密、人事情報を入力する場合は、会社の規程と利用環境を確認します。個人情報保護委員会は、生成AIサービスへ個人情報を含むプロンプトを入力する際、利用目的の達成に必要な範囲か、入力データが応答以外の目的で扱われないかなどを確認するよう注意喚起しています。個人情報保護委員会の生成AIサービス利用に関する注意喚起

無料か有料かだけで安全性を判断することも避けてください。会社の契約プラン、管理設定、利用規約、入力データの扱いを確認し、判断できない場合は上司や情報システム部門などに相談します。

最終判断や専門的な正確性が必須の文書をそのまま任せない

  • 採用の合否や人事評価
  • 法的判断や規程の最終解釈
  • 顧客への契約・価格・納期の確約
  • 金額や予算の決定
  • 個人情報を含む未承認データの処理

専門部署や承認者がいる場合は、AIの出力を共有・公開する前に確認先を決めます。

公開・送信前に確認する項目

  • 事実と根拠資料が一致しているか
  • 固有名詞、数字、日付、宛先に誤りがないか
  • 依頼内容や決定事項の抜け漏れがないか
  • 差別的・不適切・誤解を招く表現がないか
  • 他社資料や既存著作物の利用に問題がないか

生成AIを使って営業資料や企画書を作る場合は、文化庁の「AIと著作権について」も確認してください。文化庁「AIと著作権について」

生成AIの活用を明日から始めるチェックリスト

生成AIを安全に試して効果を測定する業務フロー
  1. 営業、事務、企画、管理部門の中から自分の業務に近い事例を一つ選ぶ
  2. AIに任せる工程を下書き・要約・分類・整理のいずれか一つに絞る
  3. 入力情報が会社のルールで許可されているか確認する
  4. 氏名、顧客名、契約条件などを匿名化できるか確認する
  5. 「原文にない内容は補わない」「不明な場合は要確認とする」などの条件を指定する
  6. 事実、数値、固有名詞、日付、機密性を確認する担当者を決める
  7. AI利用前の総作業時間、入力準備時間、確認・修正時間を記録する
  8. 抜け漏れや修正回数を確認し、継続利用するか判断する

効果測定では、生成にかかった時間だけでなく、入力準備と出力後の確認・修正を含めた総時間を比べます。公開事例の数値を自分の業務の効果として流用せず、自社で実測してください。

生成AIの活用事例に関するよくある質問

会社員が生成AIの活用を始めるときは、無料ツールでも試せますか?

無料か有料かだけでは判断できません。会社の利用ルール、入力できる情報の範囲、データ保持や学習利用の条件、管理設定を確認してください。判断できない場合は、上司や情報システム部門などに相談します。

生成AIが作成したメールや資料をそのまま使ってもよいですか?

そのまま使わず、事実関係、宛先、固有名詞、数値、日付、表現、抜け漏れ、引用、機密性を確認します。重要度の高い成果物ほど、原資料との照合や承認者の確認を厚くしてください。

生成AIを業務で使うとき、上司や会社の許可は必要ですか?

会社ごとに利用ルールや承認手順が異なります。社内規程を確認し、上司、情報システム部門、セキュリティ部門、個人情報保護担当、法務などの確認先を把握してください。

生成AIを使うと仕事はどの程度時短できますか?

業務の定型性、入力準備、出力後の確認・修正によって変わるため、一律の時間短縮は判断できません。AI利用前の総時間、入力準備時間、確認・修正時間、完成までの総時間を記録して、自分の業務で比較します。

生成AIに入力してはいけない業務情報はありますか?

機密情報、個人情報、顧客情報、未公開の契約条件、人事情報、営業秘密、社外秘資料などは、社内ルールで許可されていない限り入力しない考え方が基本です。迷う場合は、入力前に社内の確認先へ相談します。

まとめ

会社員が生成AIを業務に取り入れるときは、メール、資料、議事録、要約、分類、情報整理などの下書き・整理工程から検討します。営業なら商談メモや提案書、事務ならメールや議事録、企画なら調査論点や構成案、管理部門なら規程要約や社内通知が候補です。

明日試す業務を一つ選んだら、入力情報の機密性、AIに任せる範囲、人が確認する項目を決めてください。AI利用前の作業時間と、出力後の確認・修正時間を記録すれば、自分の業務で継続するか判断しやすくなります。